12月31日は「大晦日」。
ところで大晦日にはどんな云われがあるのでしょうか?
子供達にも説明できるように大晦日の由来をやさしく、丁寧に解説します。
「大晦日」の子供向けQ&A
「よく知ってるね。今日は1年の最後の日で大晦日だよね」
「うん!お蕎麦を食べて、遅くまで起きていていい日でしょ?」
「そんなことまで知っているの?すごいね!」
「すごいでしょ!でも、なんでお蕎麦を食べるの?」
「お蕎麦は細くて長いでしょ?だから、昔から『細く長く生きられますように』と言って、食べると長生きできると考えられていたんだよ。」
「へー、そうなんだ。なら、毎日食べたらいいんじゃない?」
「同じものだけじゃなくて色んなものを食べたほうがいいよ。お蕎麦はね、お月様が欠けて見えなくなる日に食べられていたんだよ。お月様のない夜は良くないことが起きると考えられていたから、お蕎麦を食べて長寿を願ったんだ。大晦日は1年で最後のお月様の出ない日だったんだよ。」
「ふーん。夜更かしするからお腹が減らないように食べるのかと思ってた。今年は夜更かしをして観たいアニメがいっぱいあるよ。」
「なんのために夜更かしをするのか知ってるかい?」
「みんなでアニメを見たり、ゲームやったりするためー!」
「・・・違います。実は神様を寝ないでお迎えするためです。神様が来る時に寝ていたら失礼でしょ?」
「えー神様!!ってなんだっけ?おばけかな~。」
「先祖のことだよ。おじいちゃんのおじいちゃんとか、そのまたおじいちゃんとか。死んじゃったおじいちゃん、おばあちゃん達のことだね。まあ『お化け』と言えないこともない・・・。」
「やっぱりお化けか。やだなぁ。」
「でも大晦日の夜にやってくる神様は、悪いお化けじゃないよ。むしろ来年の幸せを運んできてくれるんだ。」
「幸せってなに?」
「深い質問だな・・・。この場合の幸せは、病気や怪我をせずに元気に過ごせるという意味だよ。」
「そうなんだ。お年玉がいっぱいもらえることかと思ったよ。」
大人向け「大晦日」の基礎知識
1.大晦日の言葉の意味
まず、「大晦日(おおみそか)」とはどんな言葉の意味があるのでしょうか。
毎月の最終日は「晦日」と呼ばれています。
「晦日」と書いて「みそか」または「つごもり」と読みます。
「つごもり」とは「月隠(つきごもり」が変化した言葉で、月が全て欠けてしまって月明かりのない暗い夜のことを指します。
現在の暦(こよみ)と違い、旧暦では月の満ち欠けで月日を数えていました。
そのため月の中ごろ(15日)に満月になり、月末は新月になって月が見えなくなるのです。
そして12月31日だけは1年の締めくくりとして「大」をつけて「大つごもり(大晦日)」とよばれているのです。
ちなみに12月30日は、大晦日の前日と言う意味で「小晦日」と呼ばれています。
2.大晦日は日没まで!?
現在の日付の境目は時計が12時を指した時間です。
しかし昔は日暮れ(日没)をもって日付がかわると考えていました。
日が暮れた後は「年越し」と呼ばれるのですが、日付が変わっているため、実はお正月の一部なのです。
そのため正月飾りを飾る、お節料理を作るといったお正月を迎える準備は、日没前に終わらせておく必要があったとされています。
3.大晦日にはなぜ夜更かしをするのか?
現代の大晦日の過ごし方と言えば、テレビで「紅白歌合戦」と「ゆく年くる年」を観ることや、ディズニーランドやライブに出かけてカウントダウンイベントに参加することなどがあります。
その目的は、家族や友人と1年の頑張りをねぎらい、新しい1年を一緒に迎えてどうぞよろしくと心を寄せるためではないでしょうか?
しかし、昔の大晦日では、夕暮れを過ぎてしまうとお正月に入ってしまいます。
そのため1年の境目を家族と共有するために夜更かしをしていたわけではありません。
本来の目的は新年に幸福をもたらすとされる「年神様(先祖の霊)」をお迎えするために夜更かししていた(一晩起きていた)のです。
そのため、大晦日の夜(=年越し)にお節を食べていた地域もあったそうです。
つまり、旧い習わしで考えると、家や神社にこもって年神様を迎えるべき時に、外に出歩いてカウントダウンイベントに参加するなどということは「もってのほか」ということになるのです。
4.年越しそばの由来
実は大晦日に限らず、毎月の「晦日」には、家を掃除してお蕎麦を食べる習慣があったようです。
細くて長いお蕎麦は長寿を願う縁起物として食されてきました。
特に晦日は、月が欠けて見えなくなってしまう夜であるため、物忌み(縁起の悪い日)であると考えられていました。
そこで、お蕎麦を食べて「延命」を図ったとされています。
大晦日は1年の締めくくりですから特に重要な日です。そのため大晦日だけ年越しそばを食べる習慣が現代にも残ったと考えられます。