赤ちゃんと人工栄養~生後5ヶ月のミルク量と回数~

生後5か月の完ミの赤ちゃん、混合栄養の赤ちゃん、それぞれの粉ミルクを飲ませるときの量について解説します。

また、ミルクを飲まないときの原因や対処法についても解説します。

生後5か月の粉ミルクの量【完ミの場合】

人工栄養だけで育てている場合、生後5か月の赤ちゃんに与えるミルクの標準量は以下の通りです。

1日の粉ミルクの量(5ヶ月)
1回量授乳回数
200ml(スプーン10杯分)5回(内、離乳食後1回)

※スプーン1杯が2.6gの場合

粉ミルクは栄養素の基準値が国で定められているため、基本的にはどのメーカーの粉ミルクであっても標準量は一緒です。

では、なぜこの分量になるのかを解説していきます。

1.必要エネルギー量(0~5か月)

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年)」によれば、生後0~5か月の赤ちゃんが1日に摂取する必要があるエネルギー(kcal)の推定量は男の子で550kcal、女の子で500kcalとしています。

2.生後5か月で最低限の量とは?

「食事摂取基準」で示されているエネルギー量は、男の子が体重6.3kg、女の子が体重5.9kgの赤ちゃんを基準に算定されたものです。

生後5か月の赤ちゃんの標準的な体重は、男の子が約7.7kg、女の子が約7.1kgなので、基準よりも多いエネルギー量が必要になると推測されます。

最低限のエネルギー量を摂取するために目安となるミルクの量は以下の通りです。

1日の最低量(月齢5ヶ月)
性別最低カロリー/日ミルクの量と回数
男の子600kcal180ml(スプーン9杯分)を4回
200ml(スプーン10杯分)を1回
合計5回
女の子550kcal160ml(スプーン8杯分)を3回
180ml(スプーン9杯分)を2回
合計5回

※スプーン1杯が2.6gの場合

3.ミルク200mlを4回と離乳食後に1回

各メーカーの粉ミルクのパッケージには、月齢ごとに標準的なミルクの量が表示されています。

生後5か月の赤ちゃん場合、たとえば雪印「ぴゅあ」は1回200mlを1日4回に加えて離乳食の後にも追加で140mlを1回飲ませる、和光堂「はいはい」では、1回200~220mlを1日4回に加えて離乳食の後にも追加で200~220mlを1回飲ませる標準であるとしています。

ミルク1000mlをエネルギー量に換算すると約622~729kcal(*)となります。

「食事摂取基準」において、1日に必要な推定エネルギー量は体重8.4kgの男の子が650kcal、体重7.8kgの女の子が600kcalとしていますから、生後5か月の標準的な体格の赤ちゃんにとっては少し多めの量であることがわかります。

(*)100g当たり510kcalとして算出

4.離乳食後の粉ミルクの量

生後5か月では1日5回の授乳のうち1回は離乳食の後に飲ませることになります。

離乳食を食べない通常の4回のミルクは赤ちゃんの体格に合わせて180~220mlの範囲で飲ませます。

そして離乳食後のミルクについても基本的には赤ちゃんが欲しがるだけ140~220mlの範囲でミルクを飲ませます。

離乳食が始まった最初の1週間は、スプーン数さじ食べる程度ですので、通常のミルクと同じ程度の量を飲みますが、食べる量が増えてくる3週目以降から「180ml、160ml、140ml」と徐々に減っていきます。

とはいえ、離乳食を食べる量にはムラがあるので、基本的にはその日その日でミルクを飲む量が大きく変わる赤ちゃんもいます。

5.赤ちゃんがミルクを飲まない

生後5か月になってミルクの量が減ったと心配するママも多いでしょう。

離乳食が徐々に増えていけば、ミルクの量は当然減ってきますが、それ以外の理由でもミルクの量は減ることがあります。

たとえば、生後5か月であれば周りの人やものへの興味・関心が強くなってきて、おもちゃを触ったり、観察することに夢中になり始める時期でもあります。

いままでなら泣いてミルクを欲しがる時間だったのに、遊びに夢中になってミルクのことを忘れることも出てきます。

また、気候が涼しくなったり、生活リズムの変化などによってもミルクの量は変化します。

ミルクを急に飲まなくなって量が減ったとしても最低限、必要なエネルギーを摂取できていれば、体重は着実に増加していきます。

毎月、しっかりと赤ちゃんの体重を計測して、成長曲線内で順調に発育しているか確認することが大切です。

そのうえで、心配なことがあれば早めに小児科などで専門家に相談しましょう、

生後5か月の粉ミルクの量【混合栄養の場合】

混合栄養の場合に必要な粉ミルクの量は、赤ちゃんが飲んでいる母乳の量で大きく左右されてしまうため、以下の4つのケースに分けて、それぞれで目安となるミルクの量を解説します。

・保育園に預けている
・卒乳を始めている
・夜中の授乳はパパ担当
・母乳後に泣いてミルクを足す

1.保育園に預けている場合

保育園ではミルクと離乳食を決まった時間に決まった量を与えているはずです。

そのため休日の日中は、保育園と同じタイミングと量で離乳食とミルクを与ええるのが基本です。

こうすると平日と休日で生活リズムが変わらないので、赤ちゃんにとっても親にとっても、ストレスになりません。

夜の母乳については飲みたいだけ飲ませて問題ありません。

生後5か月であれば、栄養の9割以上を母乳かミルクで摂取しているからです。

2.卒乳を始めた場合

生後6~8か月頃に保育園に預けて職場復帰をする予定のママであれば卒乳を始めていることでしょう。

ミルクの量は卒乳の進め方次第なので一概に言えません。

例えば、徐々に母乳からミルクに切り替える方法で卒乳を進めるとして、最初は離乳食後の母乳をミルクに切り替えたとします。

この時のミルクの量は180~220mlの間で欲しいだけ飲ませます。

1日1回でも母乳からミルクに切り替えると、母乳による授乳時間の間隔が空いて、乳房が張った状態が長くなるため自然と母乳が減産されます。

その後も、おっぱいの張りが辛くならない程度に、日中の母乳を次々にミルクに切り替えていきます。

その際もやはり1回の量は200ml前後が目安です。

3.夜中だけミルクの場合

夜中の授乳だけ粉ミルクで対応している場合のミルクの量についてです。

生後5か月では1回200mlを目安にして、あとは赤ちゃんの様子に合わせて増減します。

夜中に1度だけミルクを飲ませるだけであれば、220mlなど通常より多めに与えても大丈夫です。

4.母乳不足でミルクを足す場合

完全母乳で順調に育児をしてきたママであれば、突然赤ちゃんが母乳が足りないと泣くようになったとしても、あえてミルクを足す必要はありません。

むしろ、離乳食が始まる生後5か月の時期に母乳に加えてミルクも飲ませてしまうと、離乳食の進みにも影響がでることもあります。

ただし、何らかの理由で母乳の分泌量が減ってしまい、赤ちゃんの体重増加に影響が出ているということであれば、小児科や母乳外来などで相談しましょう。

なお、生後5か月頃の標準的な赤ちゃんの1日の体重増加量は10~15gです。1か月では0.3~0.4kg増える程度です。

泣く理由は母乳が足りない以外にも考えられ、理由もなくこともありますので、すぐにミルクを足すのではなく少なくとも5~10分程度は様子を見て泣き止むのを待ってみましょう。

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