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赤ちゃんが便秘になった時に医療機関を受診する目安について解説します。
病院に行くべき便秘の目安
大前提として赤ちゃんを最も近くでみているママ・パパが何か気がかりな異変を感じるのであれば、早めに医療機関を受診しましょう。
結果的に単なる便秘であっても、生活上の注意点などを聞くことができ、便秘の予防にも繋がるでしょう。
以下では、一般的な判断基準について紹介します。
1.出血した
長時間、便が腸内に滞留していることや、水分不足が原因で、便が硬くなってしまいます。
硬くなった便を排泄する際に、便によって肛門が切れて、血が混じることがあります。
肛門が切れてしまうと、排泄時に痛みを感じるため、余計に便が排泄されなくなることがあります。
医療機関を受診すれば、医師の判断で便を柔らかくする薬が処方されて、便が出しやすくなります。
2.食欲が落ちた
便秘によりお腹が張って母乳(ミルク)を飲む量が少なくなっていれば、発育にも影響があります。
一度、病院に行って相談してみましょう。
3.機嫌が悪い
食欲が落ちることと似ていますが、便秘による不快感で、泣くことが多かったり、落ち着かなかったりなど、いつもと違う様子があれば、病院で相談しましょう。
また、便をいむような表情で苦しそうにしている場合も同様です。
4.体重が増えない
おっぱいを飲んでいても、便が出ず、体重も増えていない場合には、母乳不足も考えられます。
小児科の受診だけでなく、場合によっては母乳外来などでも相談して母乳量の確認をしてもらいましょう。
5.一週間以上の便秘がよくある
便が1週間以上でないことがよくある場合にも何らかの病気が原因である可能性があるため、医療機関を受診しましょう。
便秘の原因となる病気一覧
発症率は非常に低いですが、病気が原因で便秘が引き起こされることがあります。
1.赤ちゃんの痔
赤ちゃんにも痔になることがあります。
かたい便などによって肛門が切れて出血する「裂肛」や、下痢などが原因で腸内細菌に感染して肛門が膿んでしまう「肛門周囲膿瘍」などです。
裂肛は塗り薬、肛門周囲膿瘍は膿みを切開するなどして治療を行います。
2.ヒルシュスプルング病
腸にたまった便を排泄するためには、「蠕動運動(ぜんどううんどう)」と呼ばれる腸の動きが必要です。
この蠕動運動は、腸の壁の中にある「神経節細胞」によって行われます。
ヒルシュスプルング病は、この「神経節細胞」が生まれつき欠如しているため、排便ができません。
ヒルシュスプルング病の新生児は、誕生後、24時間以内に胎便(胎児のときに貯めていや便)が排泄されず、お腹の張りや、嘔吐が見られるため、生後1週間以内には気づかれます。
ただし、必ずしも出生時に発症するわけでなく、乳幼児期(0歳~4歳頃)に発症することがあます。
手術をすることで根治が可能です。
3.先天性腸閉塞症
食物が通過する十二指腸や小腸の内側が、厚い膜で狭くなっていたり、形状が細くなっている等の理由で、排便ができない病気です。
ヒルシュスプルング病と同じように、便秘のほかに、お腹の膨張や嘔吐が見られるため、生後間もなく見つかります。
治療には手術が必要です。
(参考書籍)
母子衛生研究会「母子健康手帳 副読本」
医学書院「新看護学・母子看護」
金原出版「小児看護学」
小学館「家庭の医学大辞典」
学研「赤ちゃんの病気全百科」
ベネッセ「赤ちゃんの病気新百科」