目次
秋の行事である十五夜のお月見に欠かせない「お供え物」の一覧を掲載しています。
併せてお月見の由来や意味などの豆知識を紹介します。
十五夜とは何か?
1.「十五夜」は旧暦8月15日
「十五夜」という名前から何となく「9月15日」にお月見をすると勘違いする人もいますが、正しくは「旧暦の8月15日」の意味しています。
現在の暦に置き換えると9月~10月上旬頃に到来します。
また、暦の関係でお月見の日が必ず満月になるわけではなく、1~2日ずれることもあります。
2.「お月見」の由来
昔の暦では、主に月の満ち欠けによって月日を数えていました。
月はおおよそ30日間(1か月)で満ちて欠けるため十五夜は「満月の夜」を意味しています。
中でも旧暦の8月15日は「中秋の名月」と呼ばれ、1年の内で最も美しい満月を考えられており、日本・中国などの東アジアでは月を観賞したり、豊穣の祈りを捧げる風習が今も根付いています。
中秋とは、秋の半ばという意味で、旧暦では7~9月までが秋の季節とされていたので、8月が中秋となります。
3.日本には「十三夜」もある
十五夜の「中秋の名月」に対して、「のちの月」「豆名月」「栗名月」と呼ばれる「十三夜」。
十五夜から1か月後れの旧暦9月13~14日に月を観賞する習慣で、この時期に収穫を迎える栗や豆をお供えします。
かつては、「十五夜」と「十三夜」の両方を名月として観賞すべきものと考えられており、片方だけ見るのは「片見月」と呼ばれ縁起が悪いと考えられていました。
4.日本における「お月見」の始まり
十五夜のお月見は古代中国(紀元前1000年頃)の「中秋節」が起源です。
日本でも月に祈りを捧げる風習はすでに縄文時代にはあったと考えられていますが、現在のような中秋の名月に月を観賞する習慣は、奈良・平安時代の宮中に中国から中秋節が伝わって始まったとされています。
日本で最初にお月見をしたのは嵯峨天皇で、その御所である現在の「大覚寺」の大沢池に船を浮かべて観賞したのが始まりとされています。
現在でも京都の大覚寺では十五夜に「観月の夕べ」という行事が催行されています。
一方で、農民の間でも旧暦8月の満月の夜に収穫を神様に感謝するお祭りが昔から行われており、宮中の中秋節が庶民に広まる過程で、農村の収穫祭と融合して、日本独自の文化になっていったと考えられています。
5.月にウサギがいる理由
月にウサギが住んでいるという伝承は、平安時代の「今昔物語集」に収められており、インドから仏教とともに伝えられた説話がもとになっています。
そこで、サルとキツネは、持っていた食べ物を老人にあげることにしました。
しかし、ウサギは食べ物を持っておらず、また食料を採ってくることもできなかったため、自らを焼いて食料とするために火を焚いて飛び込んだのです。
飢えた老人は帝釈天としての本来の姿に戻り、うさぎの行いに感動して、月に住まわせることにしたのです。
ところで日本では月にいるうさぎはお餅をついていると考えられていますが、同じ説話をもとにした中国の伝承では、帝釈天によって月に昇ったうさぎは、不老長寿の薬を造る月の女神(嫦娥:じょうが)の手伝いをしたとされています。
つまり、突いているのは「餅」ではなく「薬」ということになります。
お月見のお供え物一覧
お月見のお供えものと言えば、「ススキ」と「お団子」を真っ先に思い浮かべることでしょう。
しかし、実はお月見のお供え物は他にもたくさんあるのです。
1.農作物
先ほど説明したようにお月見は収穫祭の一種です。
そもそも満月は豊作をもたらす「五穀豊穣」の象徴としてお月見の風習が始まるよりもはるか昔から信仰の対象となってきました。
収穫した作物をお月様にお供えして、翌年の豊作を祈願するのです。
十五夜のお供え物にする代表的な農作物は以下の通りです。
米(稲穂)、小豆
野菜
里芋、さつま芋
果物
柿、栗
2.草花
お供え物にする草花についても、秋の季節に繁殖するものを飾り付けます。
一般的にはススキに限らず秋の七草をお供えします。
萩(はぎ)、尾花(おばな)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)
ススキは「尾花」の別名です。
3.お酒
十五夜にも神様に捧げるお酒をお供えすることができます。
お神酒(おみき)と呼ばれ、清酒や白酒が用いられます。
4.ススキとお団子をお供えする理由
以上のように、お供え物は多数あるのですが、現在ではススキとお団子がお供え物の主役と言えるでしょう。
なぜ、この2つが特にお供えされるようになったのでしょうか?
まず、ススキですが、お供えする由来は諸説あり、「稲穂」に見立てている、ススキは「萱(かや)」として家の屋根材になるため家を厄から守る、刀に似ているため邪気を払うなどと考えられています。
また、月見団子については、地方によって色や形が異なるのですが、あの丸い形状は満月ではなく、もともとは「里芋」を模したものだと言われています。
しかし、結果的に月と同じ丸い形状であることから、食べることによって月の神様の力を譲り受けることができると考えられています。
そもそもお餅は古来より神様の魂と同じものと考えられており、十五夜に限らず、正月や節句など大切な行事に欠かせないお供え物です。
お月見の子供向けQ&A
「お月見って何?」
「お供え物をして、満月を眺めるの。」
「なんで、そんなことするの?」
「昔はみんな、田んぼや畑で食べ物を育てていたから、満月の夜にお供え物をして、お米や野菜がたくさんとれるようにとお月様にお願いしたんだよ。」
「ふーん。七夕みたいだね。お星様じゃなくてお月様にお願いするのか。わー!おいしそうなお団子!食べていい?」
「いいよ。」
「このお団子、まんまるでお月様みたいだね」
「そうだね。でもお月様じゃなくて里芋の形なんだって。」
「そうなんだ。ねー見て!月にはうさぎが住んでるんだよ。」
「そうらしいね。」
「なんで、月に住んでるの?」
「昔話によると、食べ物がなくて困っていたおじいさんをウサギが助けたので、それを見ていた神様が感動してウサギを月に住まわせたらしいよ。ウサギは立派なことをしたから月の神様になれたんだね。」