赤ちゃんと人工栄養~生後2ヶ月に飲ませるミルクの量~

生後2か月の赤ちゃんに粉ミルクを飲ませるときの量について解説します。

完ミの赤ちゃん、混合栄養の赤ちゃん、それぞれについて基本的な考え方がわかります。

生後2か月の粉ミルクの量【完ミの場合】

人工栄養だけで育てている場合、生後2か月の赤ちゃんに与えるミルクの標準量は以下の通りです。

1日の粉ミルクの量(2ヶ月)
1回量授乳回数
160ml(スプーン8杯分)6回

※スプーン1杯が2.6gの場合

粉ミルクは栄養素の基準値が国で定められているため、基本的にはどのメーカーの粉ミルクであっても標準量は一緒です。

では、なぜこの分量になるのかを解説していきます。

1.必要エネルギー量(0~5か月)

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年)」によれば、生後0~5か月の赤ちゃんが1日に摂取する必要があるエネルギー(kcal)の推定量は男の子で550kcal女の子で500kcalとしています。

2.生後2か月で最低限の量とは?

「食事摂取基準」で示されているエネルギー量は、男の子が体重6.3kg、女の子が体重5.9kgの赤ちゃんを基準に算定されたものです。

実際には生後2か月の赤ちゃんの標準的な体重は、男の子が約5.8kg、女の子が約5.4kgなので、1日に必要なエネルギー量はもっと少ないであろうと推測されます。

しかし、生後3か月目には「食事摂取基準」の体重を超えることになるため、生後2か月目では少なくとも「食事摂取基準」に示されたエネルギー量(男の子550kcal/日、女の子1日500kcal/日)をミルクで摂取する必要があるでしょう。

最低限のエネルギー量を摂取するために必要なミルクの量は以下の通りです。

1日の最低量(月齢2ヶ月)
性別エネルギーミルク量(1回)授乳回数
男児550kcal140ml
(スプーン7杯分)
6回
女児500kcal120~140ml
(スプーン6~7杯分)
※120mlを3回、140mlを3回
6回

※スプーン1杯が2.6gの場合

3.ミルク160mlを1日6回が標準

粉ミルクのパッケージには、ミルクの標準量が月齢ごとに表示されています。

たとえば和光堂「はいはい」、雪印「ぴゅあ」では生後2か月赤ちゃんには1回160mlを1日6回飲ませるのが標準であるとしています。

エネルギー量に換算すると約636kcal(*)となりますので、パッケージに記載されている量は、この時期の標準的な体格の赤ちゃんとしてはやや多めの量であることがわかります。

このことから、たとえ赤ちゃんがもっとミルクを欲しがっても、パッケージに示されている標準量以上に粉ミルクを飲ませることは基本的には不要です。

(*)100g当たり510kcalとして算出

4.赤ちゃんがミルクを飲まないときは

生後2か月で標準よりも小さめの赤ちゃんであれば、パッケージに表示された量まで飲みたがらないこともあるでしょう。

しかし、先に示した最低限の量(男の子840ml/日、女の子780ml/日)が飲めていれば、順調に成長していくでしょう。

もし、さらに飲む量が少ない場合には、体重増加の経過に注意して見ていくとともに、成長に気になる点があれば早めに小児科などに相談しましょう。

生後2か月の粉ミルクの量【混合栄養の場合】

1.赤ちゃんによって足すべき量は異なる

母乳と粉ミルクの混合栄養で育児をしている場合に必要な粉ミルクの量は、赤ちゃんが飲んでいる母乳量で左右されるため一概には言えません。

母乳量は、乳房が母乳でいっぱいになっていれば減産し、反対に母乳が空になると増産する仕組みになっているため、赤ちゃんの成長につれて飲む量が増えれば自然に母乳も増産されます。

そのため本来はミルクを足す必要はありません。

しかし、ママが仕事で日中に授乳できない、夜間はパパがミルクで授乳を担当している、などの理由で、ママのおっぱいが張っている状態が長くなると、赤ちゃんの成長に応じて母乳が増産されないため、母乳が不足する可能性があります。

その場合には、生後2か月の赤ちゃんであればで、とりあえず標準量である1回140ml~160mlのミルクを飲ませて様子を見ます。

そして、体重の推移を見て必要に応じて増減させましょう。

2.完母を目指すなら母乳外来も選択肢

一方で、完全母乳での育児を強く希望しているママについては、上記のように安易に粉ミルクを使うことは決して望ましいことではありません。

完全母乳にするための基本は、赤ちゃんが欲しがるだけ頻回におっぱいを飲ませることで、母乳の増産を促すことだからです。

粉ミルクを使うにしても必ず母乳を吸わせた後にミルクを足すのが原則です。

乳首の形状や赤ちゃんの抱き方、吸わせ方に問題があって赤ちゃんがしっかりと母乳を飲めていないことも考えられるため、母乳外来などで授乳指導を受けることも検討しましょう。

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