目次
出産予定日を過ぎても陣痛が来ない...でも焦らなくて大丈夫。
出産予定日以降も、正常な出産期間として問題ない期間があるのです。
何故予定日よりも遅れてしまうのか、最大で何日ほど遅れる可能性があるのか、詳しくご紹介します。
意外と長い「正産期(せいさんき)」
出産予定日の3週間前には、いつ赤ちゃんが生まれてもおかしくない時期
「正産期(せいさんき)」に入ります。
正産期とは在胎週数37週0日~41週6日のこと。
実は、出産予定日を過ぎても、あと2週間は出産期間として問題ないのです。
そう考えると少し気が楽になりませんか?
出産予定日より遅れる原因って?
とはいえ、何故遅れるのか…その原因を知りたいですよね。
1.妊娠前の生理周期が28日以上、もしくは不順だった
正常な生理周期は28日とされています。
出産予定日は、それを基に1ヶ月を28日に区切って算出されるため、周期が28日以上だった方は当てはまらないのです。
同様に生理不順だった場合も、正確な予定日の算出は難しくなります。
2.胎内が快適でまだ生まれる必要がない
胎盤機能や羊水の量は妊娠38週でピークを迎え、それ以降は緩やかに低下していきます。
出産の始まりである陣痛を起こすのは、赤ちゃん自身。
お腹の中が快適でまだ外に出る必要がなければ、赤ちゃんが下りてくることもありませんし、陣痛も起こりません。
陣痛は、赤ちゃんからの「お腹の中が苦しくなってきたな」「そろそろ外に出るよ!」というサインなのです。
3.ママが強いストレスを感じている
強いストレスを感じると、交感神経系が優位になり、陣痛を感じにくくなってしまいます。
自然な陣痛を促進するのはリラックス時に優位になる「副交感神経」。
マッサージや足湯によって陣痛が始まってからの出産の進みがよくなる、というデータもあるそうです。
焦らずリラックスして、赤ちゃんからのサインを待ちましょう。
出産予定日を過ぎても、赤ちゃんやママに影響はないの?
分娩予定日から少し遅れたくらいでは、問題となることはほとんどありません。
ですが出産予定日を2週間過ぎ正産期が終わる頃には、様々な問題が出てきます。
妊娠42週0日を超えた場合を「過期妊娠」といいます。
1.胎盤機能の低下
妊娠42週を過ぎると、胎盤は弾力がなくなり、固く石灰化していきます。
機能が下がり、今までのようには酸素も栄養も運べなくなってしまうのです。
すると赤ちゃんの動きが少なくなる、脈拍が弱まるといった異常がでてきます。
2.胎便吸引症候群の危険性
また、酸素が少なくなり苦しくなった赤ちゃんが、胎内で胎便をしてしまうこともあります。
通常であれば、赤ちゃんは胎内でおしっこをしても、うんちをすることはありません。
汚れた羊水を赤ちゃんが吸い込み胎便を気管支に詰まらせてしまうと、胎便吸引症候群を引き起こす危険性があるのです。
呼吸障害や肺炎、場合によっては肺が破裂してしまうこともあります。
3.羊水の減少
妊娠中赤ちゃんをずっと包み込んで守ってくれた羊水は、分娩時のクッションとしての役割も果たします。
前述の通り妊娠38週をピークに減少していきますが、あまりに減りすぎると、出産時赤ちゃんの負担が大きくなってしまいます。
4.巨大児
赤ちゃんにとってどんなに胎内が快適でも、いつまでも胎内にいるわけにはいきません。
妊娠週数にかかわらず、4000gを超える赤ちゃんを「巨大児」と言います。
あまりに胎内で大きくなりすぎると、肩が引っかかってお産が進まず(肩甲難産)、鎖骨骨折や腕の神経が麻痺する危険性があります。
また母体にも大きな負担がかかり、裂傷が重症化したり産道に傷ができやすくなります。
最大で何日くらい遅れる可能性があるの?
以上のような理由で、日本では妊娠42週を超えないように医療行為が行われることが一般的です。
病院や医師の方針にもよりますが、子宮収縮剤などの使用による分娩誘発、帝王切開などが行われます。
出産予定日を過ぎたあとの検診
予定日を過ぎた後は、検診回数が増えることが多いようです。
回数は1週間に1回、2~3日に1回と、病院や医師の方針、妊婦さんの状態によって違います。
また、自治体からの助成券は妊娠40週まで。
それ以降は、毎回自費診療となります。
地味に痛い出費ですが、赤ちゃんが元気に生まれるためにも、こまめな経過観察が必要です。
(参考出典)
「産婦人科 診療ガイドライン ―産科編 2014 – 日本産科婦人科学会」
聖路加看護学会「分娩第一期における足浴が生理的・心理的側面に及ぼす影響」
メルクマニュアル 家庭版「過期産- 新生児の問題-」
産婦人科の基礎知識「産科 妊娠-異常編 早産と過期産 過期産」