そろそろ卒乳したいけれど、子供はまだ欲しがっている。
いったい何歳までに卒乳しなければならないのでしょうか?
自然に卒乳できる時期について解説します。
卒乳に推奨時期はない
まず、大前提として、厚生労働省、日本小児科学会、WHO(世界保健機関)などの公的な団体が「〇歳までに卒乳しなければいけない」と推奨(提言)をしていることはありません。
そのため、周りの子供たち比べて我が子の卒乳が遅れていると心配する必要はありません。
期限を決めて卒乳するのではなく、母子の関係において自然なタイミングで卒乳をしても全く構わないのです。
より重要なのは、いつまでに卒乳するかではなく、いつまでに「食事」だけで必要な栄養を摂れるようにするかです。
厚生労働省が策定した「授乳・離乳支援ガイド」では、離乳食の完成する時期として生後12~18か月が目安であるとしています。
離乳食は5~6か月頃から始まりますが、赤ちゃんに食べる力が備わってきたから始めるという意味のほかに、母乳に含まれるミネラルなどの栄養素が少なくなり、さらに母乳だけでは1日の栄養を満たせなくなる時期に入ってくるからです。
離乳食の完成期が卒乳タイミング
離乳食が完了して、栄養面でバランスのよい食事が食べられていれば、母乳を飲む必要性はありません。
そのため、離乳食が1日3回になって、食べる量が増えると、自然に母乳やミルクを飲む量が減ってきます。
そして、不足しがちなカルシウムなどのミネラルは、おやつの時に「牛乳」をコップで飲ませて補うことで、完全に離乳することができます。
栄養面だけで卒乳の時期を考えると以上のような結論になるのですが、実際には母子の触れ合いや情緒的な関わりも授乳の重要な役割です。
そのため離乳食が完了しても、母乳が続いてしまうことは珍しくありません。
ただし、母乳を欲しがって離乳食が進まない、食べる量が少ないといった状態が続くようであれば、思い切って卒乳をしたほうがよいでしょう。
卒乳時期のいろいろ
離乳食以外ではどのようなタイミングで卒乳をすればよいのでしょうか?
保育所に入った時
1歳未満で保育所に入園した場合には、赤ちゃんの成長(離乳食の進み具合)に合わせて、保育所で出される粉ミルクの量が減っていき、最終的に牛乳に切り替えられます。
家庭でも保育所の歩調に合わせて、母乳(ミルク)から牛乳に切り替えていくと自然に卒乳となります。
また、1歳以上で入園する場合には、保育所でミルクが出ませんので、入園する1か月くらい前から徐々に母乳やミルクを減らして卒乳するとよいでしょう。
1歳になった時
1歳になると離乳食の完了期に入っているため、このタイミングで卒乳するママがたくさんいることでしょう。
「1歳の節目」はとてもわかりやすいタイミングです。
注意点
母親以外の人にも愛着を感じることができる月齢になっていますが、一方で自己主張が始まっている時期でもあるため、母乳(ミルク)が飲めなくなることが受け入れられない場合が多いです。
母乳の代わりとなる、子供との触れ合いの時間を持つようにしましょう。
2歳になった時
遅い子でも2歳になれば完全に離乳食が終わっているため、2歳という誕生日を節目にして卒乳をしてもいいでしょう。
注意点
この時期は、自我がとても強くなって「イヤイヤ期」に入っていることでしょう。
母乳がもらえないために大騒ぎして泣きついてきます。
「おっぱい飲みたい!!」という子供の激しい欲求にどれだけ耐えられるかが、卒乳するためのポイントとなります。
よく言われることですが、「3日耐えたらコロっとおっぱいを欲しがらなくなった」という経験をしたことのあるママも多いでしょう。
3歳になった時
3歳近くになると、家族や親戚など周囲の大人たちから「まだ、おっぱい飲んでるの?」と話したりするので、「本当はおっぱいを飲まなくてもいい」と本人が知っているケースが多くなるでしょう。
そのため自分から飲むのをやめることもありますし、3歳の誕生日や、幼稚園に入園するタイミングで、子供に「おっぱい飲むのは、さよならだよ」とママから話をして卒乳させたりします。
注意点
心が発達し、記憶も残るようになる時期です。
おっぱいを欲しがるからと言って、子供自身の人格を否定するような言動はしないようにしましょう。
おっぱいを飲まずに1日過ごせたら、たくさん褒めてあげて、卒乳することに対して自己肯定感を感じられるようにしてあげましょう。
小学校就学前
3歳を過ぎてしまうと、自分から「おっぱいはもう飲まない」と言ってくるケースも増えてきます。
子供の性格にもよりますが、本人に卒乳したほうがいいことを話して、子供自身の意思でやめるように促していきましょう。
その他
子供やママの気持ちとは関係なく卒乳(断乳)せざる負えないタイミングは次の通りです。
子供が心の準備をする前に、突然おっぱいが飲めなくなるため、訳が分からず泣き叫ぶこともあります。
子供の悲しい想いをしっかりと受けとめてあげましょう。
また、気持ちが不安定にならないように、できるだけママの愛情が感じられるような触れ合いの時間を作りましょう。
(参考出典)
雪印ビーンスターク株式会社
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」