母乳を卒業する方法は様々にあります。
子供の年齢や性格、生活環境によっても異なりますので、複数のパターンで卒乳方法を紹介します。
卒乳と断乳の違いを知ろう
「卒乳」という言葉は、近年になって使われるようになった言葉で、かつては「断乳」と言われていました。
「断乳」が、ある日突然、母乳(ミルク)を断ってしまうイメージであるのに対して、「卒乳」は赤ちゃんの様子や気持ちを見ながら徐々に離乳していくというイメージを持った言葉です。
母乳は単に栄養面の効果以外にも、ゆったりとした母親との触れ合いの中で愛情を感じることで、赤ちゃんの安定した心の発達にも役立ちます。
「断乳」も「卒乳」も母乳(ミルク)とお別れするという結果は同じですが、その過程において、赤ちゃんが安心した気持ちの中でお別れできるように「卒乳」を進めていきましょう。
なお、「卒乳をしないといけない年齢」というものはありません。
病気など特別な事情を除いては、母子の関係の中で、自然と思えるタイミングで卒乳していきましょう。
卒乳のタイミングに関しては、こちらの記事もご覧ください。
https://cawaiku.com/child/1-old/breast-milk-weaning-timing-1799
卒乳の仕方
1.保育所に入園することになった場合
保育所の待機児童問題の影響で、1歳未満で保育所に入園する赤ちゃんが増えています。
離乳食が完成していない1歳未満の乳児が入園した場合、預けている日中はおっぱいが飲めません。
保育所によっては、冷凍した母乳を渡すと、哺乳瓶で飲ませてくれることもありますが、いずれにしても「おっぱい」ではなく「哺乳瓶」で母乳(ミルク)を飲むことになります。
多くの場合、哺乳瓶であっても嫌がることなく飲んでくれます。
しかし、完全母乳で育てられてきた乳児の中には、突然、哺乳瓶に変わると、不安に感じて嫌がることもあります。
そのため、入園前(1~2か月前)から、哺乳瓶に慣れさせておく必要があります。
昼間の機嫌いい時間に、哺乳瓶を見せたり、乳首を舐めさせたりして、赤ちゃんが興味を持つようにします。
そして、哺乳瓶に慣れてきたら、搾乳した母乳または粉ミルクで授乳をします。
最初は、昼間の時間に1回ですが、徐々に増やしていき、保育所に預ける予定の時間帯については、毎回、哺乳瓶で飲めるようにしましょう。
なお、夜間については、無理に哺乳瓶にする必要はなく、おっぱいでも構いません。
おっぱいを吸わないと安心して眠れないという赤ちゃんもいることでしょう。
夜の卒乳については、1歳を過ぎてから始めても遅くありません。
2.1歳~1歳6か月の場合
離乳食が完了時期に入る1歳になれば、卒乳ができるようになります。
ただし個人差があるので、本当に卒乳しても問題ないか、以下のポイントを確認しましょう。
全てチェックがつけば卒乳可能です。
この時期、特別な理由がなければ、目標日を決めて卒乳させる必要性はありません。
むしろ、離乳食や補食(おやつ)をしっかり食べてもらい、自然と母乳の回数が減っていくようにしましょう。
離乳食をおいしく、楽しく食べられるようにして、遊んだあともおっぱいではなく麦茶を勧めて水分補給するようにしていきましょう。
その結果、母乳を欲しがらなければ、もちろん母乳をあげる必要はありません。
反対に、母乳を欲しがって場合には、飲ませても構いませんが、その際には「飲まなくても大丈夫」だということを毎回お話して、子供自身にわかってもらうようにしましょう。
3.1歳6か月以降の場合
1歳6か月を過ぎると、ほとんどの子供は幼児食に移っています。
だからと言って、完全に断乳しなければならないということもありません。
ただし、おっぱいを飲む量が多いために離乳食が遅れているのであれば、やはり卒乳する(または母乳を減らす)努力をしていきましょう。
もしも「思い切って卒乳しよう!」と決意したら、次の3つのステップで進めていきましょう。
なお、ミルクの場合は哺乳瓶ではなくコップで飲ませるようにすれば基本的には卒乳となります。
ステップ1 1回の授乳時間を減らす
例えば、1度の授乳で、左右2回(1回5分)ずつ20分間母乳を上げていたのであれば、左右1回ずつにして10分に減らします。
問題なければ、1回を4分⇒3分と減らしていき、全体の授乳時間を6~7分にしていきます。
続いて、今度は1度の授乳で、左右のどちらか一方だけに減らします。
ステップ2 授乳回数を減らす
例えば、授乳回数が1日3回あるのであれば、強く抵抗しない時間帯の授乳を減らしていきましょう。
日中の授乳を減らす場合には、代わりとして、一緒に楽しく遊んだり、補食(おやつ)を食べるなどして、寂しくないようにしてあげましょう。
夜の授乳を減らす場合には、抱っこしたり、子守唄や絵本を読むなどしてあげましょう。
これで自然に卒乳できれば終了です。
ただし、子供が泣いて抵抗してしまい、どうしても1日に1回だけはやめられないということも良くあります。
この場合、2つの対応が考えられます。
ひとつは「思い切って断乳する」という対応で、もうひとつは「授乳の日数を広げていく」という対応です。
例えば、1日1回の授乳を、2日に1回、3日に1回、1週間に1回・・・と長くしていき、自然に母乳を忘れさせます。
ただし、この方法は「おっぱいほしい」と泣くことが、長期間続いてしまう可能性もありますので、子供の性格に合わせて、どちらかの方法で卒乳をしていきます。
ステップ3 断乳する
授乳回数が少なくなったものの、どうしても卒乳に至らない場合は、断乳を行います。
個人差がありますが、だいたい2~3日あげなければ、母乳を欲しがらなくなると言われています。
(稀にですが、断乳してから4日後に子供がおっぱいのことを思い出して大泣きして、あげてしまったという人も知人にいます。)
夜中に泣き叫んでたいへんな思いをすることもあるため、連休を利用して実施するパターンが一般的です。
大切なことは、断乳を行う1週間前くらいから、何度も「もう少しでおっぱいバイバイね」と子供に断乳することを言い聞かせることです。
大好きな「おっぱい」が飲めなくなるのですから、子供にとっては一大事件です。
子供の寂しい気持ちをしっかり受け止めて、励ましてあげましょう。