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赤ちゃんに下痢の症状が出る「感染性胃腸炎」について解説します。
新生児の下痢の原因となる「感染性胃腸炎」とは?
1.白い下痢はロタウィルスによる感染症
ロタウィルスは、通常、発熱と嘔吐の症状が先に始まり、1日たってから下痢を繰り返すようになります。
ロタウィルスは、新生児・乳児がかかりやすい感染症であり、5歳までの胃腸炎の50%を占めるとされています。
生後2か月に満たない新生児も感染する事例があります。
「白」または「白っぽい黄色」は、このロタウィルスに感染した時によく見られる下痢の色で「白色便性下痢症」と呼ばれています。
なお、生後6週間を過ぎるとロタウィルスの予防接種を受けることができます。
2.ロタウィルス以外の感染症による下痢
新生児の胃腸炎の多くはロタウィルスによるものですが、風邪やノロウィルス、食中毒などによっても、急性的な下痢の症状が引き起こされることがあります。
主な感染性胃腸炎の種類
下痢の症状がみられる場合は、自己診断せずに早めに医療機関を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。
以下では下痢の症状が出やすい代表的な病気について紹介します。
1.風邪症候群
風邪(呼吸器感染症)の原因となったウィルスが腸内感染することにより下痢になります。
また、風邪で処方された抗生物質を服用することにより下痢をすることがあります。
抗生物質は、腸内で食べ物の消化を助ける酵素も弱体化してしまうことがあるからです。
2.ウィルス性胃腸炎
ノロウィルス、ロタウィルス、アデノウィルスなどのウィルスに感染して発症します。
ノロウィルスとロタウィルスは「白色便性下痢症」といって、色の白い下痢が頻回にでるという特徴があります。
発症から3、4日で発熱や嘔吐症状がなくなりますが、下痢は1週間程度続くことがあります。
外出をしない新生児は、家族から感染することが多いため、親・兄弟がウィルスに感染しないように注意をする必要があります。
3.細菌性腸炎
細菌性腸炎は、サルモネラ菌、大腸菌などの細菌によって発症します。
いわいる食中毒です。
ウィルスと同様に3、4日で発熱や嘔吐症状が収まりますが、下痢は1週間程度続くことがあります。
重症になると血便になることもあります。
飲み残しのミルク(搾乳した母乳を含む)を飲ませたり、常温で放置していたミルクを飲ませると赤ちゃんが食中毒になる危険性があります。
ほ乳瓶はしっかりと煮沸消毒し、70度以上のお湯で粉ミルクを溶かしましょう。
4.二次性乳糖不耐症
乳糖不耐症は、母乳やミルクの中に含まれる「乳糖」を分解する酵素である「ラクターゼ」が、何らかの原因によって減少したり、活性しない場合に起きる病気です。
腸で乳糖を分解して吸収することができないため下痢の症状が出ます。
乳糖不耐症には、生まれつきラクターゼが欠乏している「先天性」のものと、感染症にかかった結果、ラクターゼの活動が低下してしまう「二次性」のものがあります。
二次性乳糖不耐症は、ロタウィルスによる感染性胃腸炎に続いて発症することが多いとされています。
感染性胃腸炎になってから、1週間以上を経過して下痢が続いている場合は、二次性乳糖不耐症の可能性があります。
なお、2週間以上続く慢性的な下痢の場合には、消化管アレルギーなどの病気も考えられます。
(参考出典)
医学書院「新看護学・母子看護」
金原出版「小児看護学」
小学館「家庭の医学大辞典」
学研「赤ちゃんの病気全百科」
ベネッセ「赤ちゃんの病気新百科」
新生児・乳児アレルギー疾患研究会
メルクマニュアル医学百科
小児慢性特定疾病情報センター
国立感染症研究所
日本大腸肛門病学会