乳児湿疹の予防の基本は、洗浄と保湿です。
しかし、適切な洗浄と保湿を行わなければ、かえって悪化させてしまうこともあります。
月齢や季節の湿疹の予防法
乳児の湿疹は、赤ちゃん自身の汗や皮脂、汚れによって、皮膚が刺激を受けて炎症することで発生します。
そのため、日頃から水(お湯)で、皮脂・汗・汚れをきれいに洗い落すことが大切です。
しかし、洗いすぎて肌が乾燥することでも、汗やほこりなどの刺激に敏感になり、湿疹がでます。
洗浄と保湿のバランスは、月齢や季節によって変わってきます。
1.生後2か月まで
この頃は、胎内でもらったお母さんからのホルモンの影響で皮脂が多く分泌されます。
特に、おでこから頭皮かけて皮脂が多く分泌されるため、眉毛や頭髪も赤ちゃん用の石鹸を使って綺麗に洗いましょう。
黄色い皮脂が固まって皮膚や頭髪にくっついている場合は、ワセリンを塗って皮脂を柔らかくしてから石鹸で洗い流すと落ちやすいです。
また、皮脂の分泌が多いとはいえ、石鹸やボディソープで洗いすぎると、今後は乾燥肌になります。
特に、頬やあごは、乾燥しやすく、肌がカサカサとして赤くなることがあります。
そのため、沐浴で顔を洗う時や、授乳後に顔を拭く時は、強く擦らずに、柔らかいガーゼで抑えるように皮脂や汚れを取りましょう。
洗った後は、必ずワセリンで保湿をしましょう。
2.生後2か月以降
生後2か月以降は、徐々に分泌される皮脂が少なくなります。
そのため、洗いすぎによる乾燥で、皮膚が傷つき、炎症の原因になります。
入浴した後や、蒸しタオルで体を拭いた後は、かならずワセリンで保湿をしましょう。
3.6月~9月(夏)
高温・多湿の夏の時期は汗による汚れによって湿疹ができやすくなります。
そこで、沐浴(入浴)の回数を1回増やすか、または、蒸しタオルなどで全身を拭くなどして、汗が皮膚に残らないようにします。
また、特に赤ちゃんは汗をかきやすいため、通気性の良い綿100%の衣服を着て、汗をよく吸収してもらいましょう。
寝起きなど、汗をかいた後は、早めに衣服やおむつを交換しましょう。
おむつの中は、蒸れて、かぶれになりやすくなっています。
そこで、おむつを交換する際は、おしり全体を濡れたタオルで拭きましょう。
4.10月~5月(春・秋・冬)
夏場と違い乾燥する季節です。
特に5月や10月は、夏のように暑い日もあるため、乾燥と無縁に思われるかもしれませんが、大陸性の高気圧によって、よく晴れた日が続くと、乾燥した空気になります。
生後2か月以降で、この時期を過ごす場合は、特に注意が必要です。
なぜなら、皮膚が乾燥してバリアが弱くなることで、乳児湿疹が、アトピーやアレルギーによる皮膚炎に移行することがあるからです。
入浴の後の保湿はもちろん、授乳後に顔をガーゼで拭いた後も、顔を保湿するようにします。
保湿の基本は白色ワセリン
赤ちゃんの保湿といえば、ベビーオイル、ベビーローション、保湿成分入りの入浴剤などを使う家庭が多いでしょう。
そのどれもが、赤ちゃんの肌に優しい低刺激を謳っていますが、いずれも化学物質を含む複数の成分・原材料が使われており、湿疹ができやすい敏感肌の赤ちゃんにとって最適とはいえません。
一方で、ドラッグストアなどで売っている「第3類医薬品」の白色ワセリン(プロペト)の成分は、ワセリンのみで不純物がありません。
アトピーの薬としても使われ、口や目に入っても安全です。
入浴やタオルで体を拭いた後の保湿は、基本的にワセリンを使うようにしましょう。
ただし、湿疹ができてしまった場合、いくら安全なワセリンであっても、自己判断で、患部に塗ることは避けましょう。
湿疹の原因は、汗や乾燥によるものだけでなく、アレルギーやウィルスなどよって引き起こされていることもあり、場合によっては、ワセリンを使い続けることで、悪化する恐れもあります。
医師に相談したうえで湿疹に使っていいか判断しましょう。
また、夏場の高温・多湿の時期は、ワセリンを使うことで汗疹(あせも)ができやすくなることもあるので注意が必要です。
湿疹のケアには、ワセリン以外にも「亜鉛華単軟膏」も効果があります。
湿疹ができたときに病院に行く目安は、こちらの記事で確認できます。
<参考出典>
メルクマニュアル医学百科
大木皮膚科
綾瀬皮膚科クリニック