基礎からわかる妊婦の体重管理

妊娠中のママが日常生活で一番に気を付けたいのが「体重管理」ですよね?

妊婦健診の際に「太りすぎ」や「痩せすぎ」で医師や助産師さんに怒られたというママもたくさんいることでしょう。

そこで、「理想的な体重増加」と「そもそもなぜ体重管理をしないといけないのか?」という基礎知識を解説します。

自分のBMIを知ることが体重管理の基本

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妊娠中の体重増加の目安は、ママの体型によって異なります。

体型はBMI(ボディー・マン・インデックス)という指標を使って測定します。

BMIは次の計算式で簡単にわかります。

BMI=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

例えば、体重48kg・身長157cmの人は、

48÷(1.57×1.57)=約19.5(BMI)

となります。

とても簡単な計算式なので、すぐにBMIが測定できたかと思います。

なお、最近のデジタル体重計であれば、自分の身長を登録しておくことで、いつでもBMIを計測することができるようになっています。

こうしてBMIがわかれば、現在の「体型」が確定します。

BMI体型
18.5未満やせ型
18.5~25平均型
25以上肥満型


「体型」がわかったら次に体重増加の目安を確認しましょう。

厚生労働省が公表している「妊産婦のための食生活指針」によると以下の通りです。

体型妊娠中の推奨体重増加量
やせ型+9~12kg
平均型+7~12kg
肥満型+5kg(目安であり基本は個別対応)

ところで、妊娠をすると胎児や胎盤が大きくなり、羊水や血中の血液・水分量も増加するため体重は自然に増えます。

こうした「妊娠に伴う」体重増加は何キロくらいかご存知ですか?

答えは合計で約8kg程度です。

つまり、やせ型以外の人は「実質的に太ってはいけない」ということになります。

したがって平均型や肥満型のママであれば、赤ちゃんに必要な分だけ食事の量を増やせば良いということになります。

妊婦の体重は「増えすぎ」も「増えなさすぎ」も良くない

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では、なぜ体重を管理する必要があるのか、そもそもの理由を知っておきましょう。

1.体重の「増えすぎ」が良くない理由

体重の増えすぎが問題になるのは、主に3つの理由があります。

特に35歳以上の高齢の妊婦は、20代と比べて基礎代謝などが落ちるため「増えすぎ」に注意する必要があります。

妊娠高血圧症候群になりやすい

そもそも肥満体型である、急激に体重が増える理由は「食事の摂りすぎ」が原因です。

食事をたくさん食べているということは、それだけ摂取しているカロリーや塩分が多くなるため、高血圧になるリスクが高いと言えます。

妊娠高血圧症候群になると、ママ自身が「安静」に過ごして体に負担のかけない生活を強いられるだけでなく、胎盤を通じて届くはずの酸素と栄養が十分に送れなくなり、赤ちゃんが発育障害になる可能性もあります。

妊娠糖尿病になりやすい

妊娠糖尿病は、糖質(炭水化物)をエネルギーに変えるときに働くインスリンというホルモンが妊娠をきっかけに分泌不足になることで起きる病気です。

妊娠高血圧症候群と同じく、食事の摂りすぎによる肥満や、さらに35歳以上の妊婦であることが重なると発症のリスクが高まります。

妊娠糖尿病は、妊娠高血圧症候群を併発しやすく、また胎児の発育障害や、出生後の赤ちゃんが低血糖や呼吸窮迫症候群などになりやすいとされています。

難産になりやすい

体重が増えすぎることで、赤ちゃんが4000g以上の巨大児になると難産になる可能性があるのです。

子宮や産道近くに脂肪がついているため微弱陣痛になりやすく、大きな赤ちゃんに比べて産道が狭いために、分娩が長時間に及び、仮死産、死産のリスクが高まります。

そのため正常分娩ではなく帝王切開による分娩になることがあります。

特に経産婦の場合に巨大児になりやすいため注意が必要です。

2.体重の「増えなさすぎ」が良くない理由

特に「やせ型」で、妊娠中の体重が増えない場合には、早産になりやすく低出生体重児で産まれる可能性が高くなります。

早産で産まれると体温調整機能や呼吸器、消化器などが未熟であるためNICUで発育を見守る必要があり、また、正期産であっても低出生体重児であれば哺乳する力が弱く母乳がうまく吸えないことがあります。

最近は、「やせ型」の女性が増えており、20代では23.4%、30代では14.7%が「やせ型」であるという統計があります。(厚生労働省「平成15年国民健康・栄養調査報告」より)

体重増加の推移の目安

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仮に妊娠中の理想的な体重増加の範囲内だったとしても、1カ月間に2kg超えるような急激な体重増加は、妊娠高血圧症候群になるリスクを高めます。

そこで妊娠期間にあわせた体重増加の目安も知っておきましょう。

下記の表は「妊産婦のための食生活指針」に基づき、妊娠時期別に妊娠1か月間(4週間)の体重増加の目安を表示しています。

体型妊娠初期(月)妊娠中期以降(月)
やせ型個別対応1.2~2.0kg
平均型個別対応1.2~2.0kg
肥満型個別対応個別対応個別対応


※妊娠中期は妊娠4か月(16週)から、妊娠後期は妊娠8か月(28週)から始まります。

表の通りやせ型と平均型の妊婦さんの場合、妊娠4か月目以降は月に1.2~2.0kg増が目安となります。

ただし、やせ型の妊婦さんは毎月に1.2kg増だと7kg程度しか体重が増えないため、妊娠初期の間に2~3kg程度増加するか、または妊娠中期以降に2.0kgを目安に増加するのが理想的と言えます。


<参考出典>
厚生労働省「妊産婦のための食生活指針」
母性看護学各論
家庭の医学大辞典
はじめての妊娠・出産百科
初めての妊娠・出産

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