乳児・子供のための『熱中症』対策

体温調整機能が未発達な子供は熱中症になりやすいので気を付けましょう。

乳児・幼児が熱中症にならないための予防法と、もし熱中症になった場合の対処について解説します。

この記事には疾病の情報が一部に含まれています。当記事を参考にした自己診断は決して行わないでください。気になることがあれば、医療機関を受診することを強くお勧めします。自己診断によるトラブルは一切の責任を負いかねます。

熱中症とは?

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熱中症は高温と脱水によって発生します。

屋外・屋内に関わらず、「高温多湿」の環境で体温が下がりにくい状態にあり、さらに、発汗量に対して、水分補給が不足していることが原因です。

「熱中症」という病気は「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」という3つの種類に分かれます。

そして、それぞれ症状や手当の仕方が異なります。

1.熱けいれん

激しい運動や作業などをして、大量に汗をかくと、水分と電解質(塩分)が血液中から失われます。

この時、水分だけを大量に補給すると、血液中の電解質(塩分)が薄くなります。

電解質は、神経や筋肉の活動を助ける働きがあります。

そのため、血中の電解質が少なくなることで、「熱けいれん」が起きます。

「熱けいれん」の代表的な症状は、筋肉が急激に収縮することで起きる「ふくらはぎがつる(こむら返り)」などです。

こうした筋肉のけいれんや硬直は、強い痛みを伴います。

また、頭痛や嘔吐などの症状が伴う場合もあります。

手当(看護)

すぐに涼しい所で休ませて、スポーツドリンクなどで水分と電解質を補給します。

顔色が悪い、嘔吐する、水分が飲めないなどの症状があれば早めに医療機関を受診します。

2.熱疲労

高温多湿の環境の中で長時間過ごしていたり、激しい運動をするなどで、大量に汗をかくと、水分と電解質(塩分)が血液中から失われます。

この時、発汗量に比べて、水分補給が少なすぎると、血液量が減少して血圧が下がり「熱疲労」になります。

主な症状は、「めまい」「疲労感」「吐き気」「嘔吐」「失神」などです。

体温も39度近くに上がります。

手当(看護)

熱けいれんと同じく、涼しいこところで休ませて、スポーツドリンクや食塩水を補給させましょう。

同時に、うちわやタオルなどで、風を送り体温を下げます。

「熱けいれん」より重症化しやすい「熱射病」に移行することもあるため、早めに医療機関を受診しましょう。

3.熱射病

大量の発汗にも関わらず、水分と電解質(塩分)が補給されず、極度な水分不足・電解質不足の状態が続くと体温を調整する脳の機能が働くなり「熱射病」に発展します。

体温が40度を超えて、意識が朦朧(もうろう)とするなど、脳をはじめ、肝臓、心臓などの臓器が損傷します。

体温が非常に高いにもかかわらず、汗が止まって、皮膚が乾燥した状態になります。

熱射病は死亡するリスクが高いです。

死亡しなかったとしても、20%の人が脳や運動機能、腎臓などに障害が残ります。

手当(看護)

死亡する危険があるため、早急に治療が必要です。

すぐに救急車を呼びましょう。

その間、涼しい場所で、濡れたタオルで体を冷やし、うちわやタオルで風邪を送って、体温を下げましょう。

熱中症の予防に効果的な飲み物

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熱中症は、高温によって汗をかき、血中の水分と電解質(塩分)が不足することで起きます。

そのため、スポーツドリンクなどの「電解質を含んだ水分」を飲むことで、熱中症を予防したり、熱中症を回復させることができます。

1.乳児の場合

乳児の水分補給は基本的に母乳(ミルク)です。

ただし、完全母乳で育てている場合、何らかの原因で母乳の量が少なかったり、哺乳が十分にできていないばあいには、水分が不足して脱水状態になることがあります。

おっぱいをあげても、すぐに泣いて、また、おっぱいを欲しがる場合には、母乳が足りない可能性があるので、母乳にこだわらず、ミルクをあげるようにしましょう。

ただし、たくさんの汗をかいて赤ちゃんに脱水や熱中症の症状が出た場合には、母乳(ミルク)での水分補給は適していません。

何故なら、母乳(ミルク)は、体内に吸収されるスピードが遅いためです。

この場合は「経口補水液」を飲ませるようにします。

経口補水液は、スポーツドリンクに比べて、水分中に含まれる電解質の量が多く、より血液の成分に近いとされています。

ただし、スポーツドリンクに比べて糖分が少ないため、乳幼児は味が気に入らず飲みたがらない場合があります。

その場合は、砂糖を足して、飲みやすくしてあげましょう。

経口補水液は、病気による発熱や下痢、嘔吐の時にも脱水予防として利用できるため自宅に常備しておきましょう。

2.幼児・子供の場合

外で遊ぶときは、スポーツドリンクをこまめに飲めば、熱中症の予防になります。

ただし、スポーツドリンクは糖分が多いため、食事前に飲むと血糖値が上がり満腹感がでて、ご飯を食べなくなることがあります。

その場合は、「麦茶」を飲ませるようにしましょう。

麦茶には、電解質の成分である、ナトリウムやカリウムが含まれている商品があり、熱中症の予防に効果があります。

注意点としては、ティーバッグで抽出した『麦茶』には電解質はほとんど含まれていません。

一方、ペットボトルの「ミネラル麦茶」は、人工的に電解質の成分を加えていますので、こちらで水分補給をしましょう。

また、熱中症の症状がでた場合には、電解質が多く含まれている経口補水液をすぐに飲ませましょう。

乳幼児の熱中症予防

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1.エアコンを使って室温を28度以下にする

直射日光のない室内であっても、30度を超える高温の中で過ごしていると、大量の汗をかきます。

子供は代謝量が多く、汗もかきやすいため、すぐに脱水になります。

そこでエアコンを使って、室温を下げましょう。

もし、エアコンがない場合には、氷嚢を作って首やわきの下などを冷やすと良いでしょう。

赤ちゃんの場合には冷やしすぎにも気を付けましょう。

日本では猛暑の日が多くなっているため、室内での熱中症を防ぐためにもエアコンを取り付けましょう。

2.暑い時間帯は避けて外出する

子供とお出かけしたり、外で遊ばせる場合には、気温が高い日中の時間はさけて、午前中や夕方に外出するようにしましょう。

また、夏は日差しの強い場所で遊ぶことを避けて、日陰のある場所などで遊ぶようにします。

真夏は日陰でも暑いので激しい運動は控えて、短時間で切り上げるようにしましょう。

3.外出するときは大きな帽子をかぶせる

つばの大きな帽子をかぶらせて、頭だけでなく、首にも直射日光が当たらないようにしましょう。

これにより体温の上昇を防ぐことができます。

4.電解質の入った水分をこまめに飲ませる

汗をかいた後はもちろん、外で遊んでいるときは、少しずつこまめに水分補給をしましょう。

電解質の含まれる身近な飲み物を紹介します。

電解質が多い順番は以下の通りです。

1.経口補水液

【オーエスワンの場合】
100mlあたりの成分(一部抜粋)
ナトリウム:115mg
カリウム:78mg
マグネシウム:2.4mg
塩素:177mg

2.スポーツドリンク

【ポカリスエットの場合】
100mlあたりの成分(一部抜粋)
ナトリウム:49mg
カリウム:20mg
カルシウム:2mg
マグネシウム:0.6mg

3.ミネラル麦茶

【健康ミネラル麦茶の場合】
100mlあたりの成分(一部抜粋,換算値)
ナトリウム:10mg
カリウム:12mg
マグネシウム:0.5mg

番外.粉ミルク


※母乳・ミルク・牛乳は電解質も多く含んでいますが、吸収がゆっくりであるため、大量に汗をかいた後の素早い水分補給には必ずしも適していません。

【はいはいの場合】
100mlあたりの成分(一部抜粋)
ナトリウム:140mg
カリウム:480mg
カルシウム:380mg
マグネシウム:40mg
塩素:320mg


(参考書籍)
医学書院「新看護学・母子看護」
金原出版「小児看護学」
小学館「家庭の医学大辞典」
学研「赤ちゃんの病気全百科」
ベネッセ「赤ちゃんの病気新百科」
伊藤園「健康ミネラル麦茶」
和光堂「はいはい」
大塚製薬「OS-1」
大塚製薬「ポカリスウェット」

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