「白色ワセリン」と「亜鉛華軟膏」で赤ちゃんの肌を守る

乳児湿疹、汗疹(あせも)、おむつかぶれ、アトピーなど、赤ちゃんの皮膚トラブルは日常茶飯事です。

ドラッグストアでも手に入り、こうした皮膚トラブルの予防に効果がある「白色ワセリン」と「亜鉛華単軟膏」について解説します。

この記事には疾病の情報が一部に含まれています。当記事を参考にした自己診断は決して行わないでください。気になることがあれば、医療機関を受診することを強くお勧めします。自己診断によるトラブルは一切の責任を負いかねます。

「白色ワセリン」と「亜鉛華単軟膏」を使用する前の注意点

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「白色ワセリン」と「亜鉛華単軟膏」は、治療ではなく、皮膚を保護する目的で使用されるもので、副作用がほとんどありません。

そのため乳児でも安心して利用することができます。

また、両者を上手に利用することで、皮膚トラブルを未然に防ぐことができます。

しかし、実際に使用する場合には、必ず薬局の薬剤師さんに正しい使用方法を聞くようにしましょう。

また、すでに湿疹等の皮膚トラブルがある場合には、医療機関を受診したうえで、医師に使用していいか相談しましょう。

白色ワセリンとは?

1.白色ワセリンは保湿に効果的

白色ワセリンは、石油を精製して作られています。

より純度の高いワセリンは色が白いため、白色ワセリンと呼ばれています。

この白色ワセリンは、皮膚科で処方される塗り薬の基材として使われており、目薬にも使われるほど安全性が高いことで知られています。

皮膚に塗ると、ワセリンの油分が皮膚表面を覆い、皮膚から水分が蒸発することを抑制します。

これにより肌が乾燥することを防ぐのです。

同時に、肌に刺激の与える外部の物質から守る効果もあります。

2.ワセリンを使った日常ケア

乳児湿疹やアトピーは、肌の乾燥が原因で発生することがあります。

そもそも赤ちゃんの皮膚はバリアが薄く、外部の刺激を受けやすい状況にあります。

乾燥が皮膚炎に発展する仕組みは次の通りです。

 1.空気が乾燥している、または洗いすぎで、肌を守る皮脂膜が薄くなる
 ↓
 2.タオルや服などの摩擦によって皮膚が傷つく
 ↓
 3.汗や汚れ、細菌などの刺激によって炎症が起きる

たとえば生後、2か月までの赤ちゃんは、ホルモンの影響で皮脂が多く分泌されるため、顔や頭に黄色い「かさぶた」のような「乳児脂漏性湿疹」があらわれます。

そこで、ママが懸命に余分な皮脂を洗い落とすのですが、今度は洗いすぎで顔の湿疹が赤くなることがあります。

これは、乾燥が原因で起きる皮膚炎です。

こうした乳児湿疹から展開する皮膚のトラブルを予防するため、洗った後に白色ワセリンを塗って、肌の乾燥を防ぐのです。

「体を洗う」、「顔を拭く」など肌の皮脂が薄くなる行為を行った後に、ワセリンを塗るようにしましょう。

反対に、体を清潔にしない状態で、ワセリンを塗ると、皮膚表面の汚れが原因で炎症の原因となります。

清潔にした後に使用するようにしましょう。

亜鉛華軟膏とは?

1.亜鉛華軟膏は炎症を防ぐ

「亜鉛華(単)軟膏」は「酸化亜鉛」という成分を含んだ軟膏です。

酸化亜鉛は、皮膚のたんぱく質組や血管などの組織を収縮させる「収れん作用」があるため、皮膚の炎症を抑えることができます。

副作用が少ないためドラッグストアなどで購入することができます。

また、おむつかぶれなどで医療機関を受診すると軽度の場合は処方されることがあります。

2.亜鉛華軟膏を使った日常ケア?

ワセリンも亜鉛華単軟膏も、塗ることで皮膚が保護されるため、汚れや細菌など皮膚炎の原因となる外部の物質から守ってくれます。

異なる点としては、「ワセリン」が肌を『保湿』する軟膏であるのに対し、「亜鉛華軟膏」は汗などの水分を吸収して『乾燥』させる軟膏です。

そのため、亜鉛華単軟膏は「おむつかぶれ」や「汗疹(あせも)」の予防に効果があります。

夏場にシャワーを浴びた後に汗疹のできやすい胸や背中に塗ったり、おむつ交換の時に蒸れやすい股間周辺に塗ることで、汗疹やおむつかぶれに繋がる肌荒れを防ぎます。

初期のごく軽い赤みであれば、シャワーなどで洗浄した後に亜鉛単軟膏を塗ることで、炎症が消えます。

なお、汗疹やおむつかぶれになった場合には医療機関を受診しましょう。


(参考書籍)
医学書院「新看護学・母子看護」
金原出版「小児看護学」
小学館「家庭の医学大辞典」
学研「赤ちゃんの病気全百科」
ベネッセ「赤ちゃんの病気新百科」

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