出産前に退職しても「もらえるお金」「もらえないお金」【一覧表】

出産を期に退職をしようと思っているママは多いかもしれません。しかし、退職は慎重に考えましょう。

なぜなら退職をするともらえたはずの公的な給付がもらえなくなるからです。その実情を解説します。

出産で退職したらもらえる給付の「〇×表」

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出産前に退職をした場合、雇用保険および健康保険の制度を利用して受け取れる給付は以下の通りです。

給付の種類 給付の有無 理由
求職者給付
(失業保険)
× 「求職者」に対する給付だから。
育児休業手当
(育休手当)
× 会社に所属したまま「休業」している人に対する給付だから。
出産育児一時金 夫の健康保険の「被扶養者」になれるので受け取れる
出産手当金 × 「被保険者」への給付だから。

なお、出産をしても継続して会社に籍がある人、つまり「産前産後休業・育児休業」とする人と比較した場合このようになります。


給付の種類 退職者 休業者
求職者給付(失業保険) × ×
育児休業手当(育休手当) ×
出産育児一時金
出産手当金 ×

赤ちゃんが1歳になるまで休業すると仮定した場合、「退職した人」と「休業した人」がもらえる金額の差は、月収20万円の人で150万円程度にもなります。

しかも、給付金から税金を差し引かれることはないため全て手元に残ります。

したがって、安易に「出産したから辞めよう」と思わないほうがよいです。

休業(産休・育休)を取得して復職しましょう。

復職後にどうしてもたいへんな状況であれば、その時にはじめて退職について検討しましょう。

退職したらもらえない理由の詳細

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1.求職者給付(失業保険)

受給できない基本的な理由

「”出産”というやむを得ない事情で会社を辞めるのだから失業手当がもらえるだろう」

と思っていたかもしれませんが、残念ながら支給されません。

失業保険の正式名称は「求職者給付」といって、なんらかの事情で失業してしまい「仕事を探している人」に対して、その間の生活を保障するために給付するものです。

出産のために退職したのであれば、「求職者」ではないため受け取ることができません。

もし、「求職者」であると嘘をついて受給した場合には、給付金を返還するとともに、さらに返還額の2倍の金額を納付する必要があります。

受給する方法

では、出産で退職したら絶対に失業給付が受け取れないかと言えば、そうではありません。

出産後に「再就職先を探す」のであれば、その求職中の期間については求職者給付を受け取ることができます。

ただし、受給するためには条件があります。

そのため、「子供が大きくなるまでは子育てに専念して、就職はその後」と思っているママは受給することが出来ません。

2.育児休業手当(育休手当)

「出産して子供を育てるのだからもらえる?」

そんなことはありません。

育児休業手当は雇用保険の給付制度ですが、そもそも雇用保険の「被保険者」でなければ受給することができません。(雇用保険法61条)

「被保険者」であるためには、事業所に雇用されていることが必須です。

退職してしまえば「被保険者」ではなくなるので受給することができないのです。

育児休業手当は、在職している人が育児のために休職せざるをえない場合に、その間の生活の保障として受け取れるものなので、どうしても受給をしたいのであれば絶対に退職をしてはいけません。

3.出産育児一時金

出産育児一時金は、在職していても退職していても受け取ることができる唯一の給付金です。

なぜ、受給できるかと言えば、出産育児一時金は健康保険の給付制度であり「被保険者」が出産した場合でも「被扶養者」が出産した場合でも、ともに受給の対象になるからです。

会社を辞めた後の健康保険への加入については以下の3パターンが考えられます。

1.夫の健康保険に「被扶養者」として加入する
2.国民健康保険に「被保険者」として加入する
3.在籍していた会社の保険に「任意継続被保険者」として残る

これら3つのうちどれを選んでも出産育児一時金を取得することが可能です。

まず、2と3は「被保険者」としてママ自身が出産育児一時金を取得することがでます。

そして、1は「被扶養者」であるママが出産をした場合に、「家族出産育児一時金」という別の給付を「被保険者」であるパパが受け取ることができるのです。

なお「出産育児一時金」と「家族出産育児一時金」でもらえる額は全く同じです。

ちなみに3つのパターンの内どの保険に加入するのがお得かと言えば、断然「1.夫の健康保険に「被扶養者」として加入する」です。

理由は簡単で、国保も任意継続も保険料を納付する必要がありますが、被扶養者は保険料を納付する必要がないからです。

夫の健康保険の保険料は被扶養者が増えたとしても同じ金額のままです。

さらに国民年金の保険料も被扶養者(第三号被保険者)は支払う必要がありません。

しかも、夫の厚生年金の支払額も変わないのに、何故か国民年金を支払ったことになり給付も受け取ることができるのです。

このように日本の年金は専業主婦(主夫)に優しすぎる制度になっています。

4.出産育児手当金

出産育児手当金も出産育児一時金と同じく「健康保険」の給付制度です。

ということは、「出産手当金はもらえる?」と思うかもしれませんが、残念ながら受け取れません。

先ほどと同じように、退職後に健康保険に加入する3つのパターンに分けて見ていきましょう。

まず、「1.夫の健康保険に「被扶養者」として加入する」場合です。

そもそも出産手当金の支給対象は「被保険者」のみとなっています。(健康保険法第102条)

従って、「被扶養者」が出産して育児をしていたとしても受け取ることは出来ないのです。

次に「2.国民健康保険に「被保険者」として加入する」場合です。

国民健康保険ならば「被保険者」なので受け取れそうに思えますが、そもそも国民健康保険には「出産育児手当金」という制度すらありません。

正確には、制度として作ることは可能なのですが、国民健康保険を運営している各自治体の裁量に任されています。

そして、いま現在、出産育児手当金を設けている自治体は全国に1つも存在しません。

その理由について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

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最後に「3.在籍していた会社の保険に「任意継続被保険者」として残る」場合です。

「これは健康保険の被保険者なのだからもらえるはず!」と思うのですが、残念ながら「任意継続被保険者は除く」という規定になっています。(健康保険法第102条)

ということで、残念ながら、どのような手段をとっても出産前に退職してしまうと出産育児手当金を受け取ることはできないのです。

出産手当金は、あくまでも会社に在籍をしていて、出産の前後に「労務に服することができなかった日(休職した日)」に支給される給付なのです。