新生児の体重が減る理由―生理的体重減少とその他5つの意外な原因―

新生児の体重が減少する理由は「生理的減少」だけではありません。

病気も含め重大な問題が潜んでいる可能性もあります。

体重減少の理由と、それによる影響について解説します。

新生児の体重が減少する理由

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まず、赤ちゃんの体重が減少する理由を見てきましょう。

理由1.「生理的体重減少」によるもの

一般的に、新生児の体重は、生後1カ月間で約900g(平均1日30g)増加します。

しかし通常、出産直後は体重が減ります。

生後3日目までの体重減少は正常なものです。

これを「生理的体重減少」といい、ほぼすべての赤ちゃんの体重が減少します。

胎児の時に飲み込んだ羊水などが便(胎便)として排出されることや、生後2,3日は母乳の分泌量が少ない等の理由で「生理的体重減少」が起きます。

「生理的体重減少」に関する詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。

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理由2.単に一時的なもの

生後4日目からは、1日平均20~30gで体重が増加していきます。

これは、母乳・ミルクともに哺乳量が増大して、たくさんの栄養を摂取できるようになるからです。

それと同時に、赤ちゃんには体重減となる以下の生理的な現象があります。

  • うんち・おしっこをする(特に便秘の場合、1度に大量の便がでる)
  • 汗や皮膚呼吸、肺呼吸によって水分が蒸発する
  • 体や内臓を動かすためにエネルギーを消費する
  • また、ちょっとした環境変化に伴うストレスで、赤ちゃんの哺乳量が減ったり、母乳がでにくくなることもよくあります。

    つまり、3~4kgしかない新生児にとって、1日のうちに体重が大きく上下することは普通のことです。

    1日や2日、一時的に体重が減ったとしても、心配する必要はありません。

    1~2週間様子を見て、体重が増える傾向になっているのであれば問題ありません。

    理由3.母乳不足によるもの

    体重が減るということは、病気の有無に関わらず、赤ちゃんが生きていく上で最低限消費されるエネルギー(カロリー)に対して栄養が不足しているということです。

    新生児が1日に消費するエネルギーは約120Kcalで、母乳や粉ミルクに換算すると550mlです。

    つまり、母乳の分泌量(赤ちゃんが哺乳する量)が、1日550mlを下回る場合、体重が減ってしまうのです。

    母乳の分泌量が十分でないにも関わらず、完全母乳にこだわって育児をしてしまうと、栄養が足りなくなることがあります。

    確かに母乳には粉ミルクとは異なる様々なメリットがありますが、赤ちゃんがそもそも栄養不足になってしまっては元も子もありません。

    助産師さんとも相談して、粉ミルクと混合で栄養を与えることも検討しましょう。

    理由4.病気によるもの

    体重減少の背景に病気が関わっていることもあります。

    既に、何らかの病気が診断されていて、それが体重減少の原因となっているのであれば、医師の指導の下、病気を治療し、栄養を十分に補給できるように改善していきます。

    また、退院後に新生児がかかる病気としては、ウィルスや細菌による感染症が中心です。

    感染した種類や場所に応じて、発熱、鼻水、咳、下痢、嘔吐、食欲不振などの症状がでます。

    これらの症状がみられる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

    また、稀に食物アレルギー(消化管アレルギー)が原因で、母乳やミルクは飲んでいるにもかかわらず、体内に栄養が吸収されていないことがあります。

    消化管アレルギーは、血便や嘔吐の症状がでることが多いとされています。

    しかし、軽度の場合、下痢の症状しかない場合があります。

    いずれにせよ、これらの症状が出たら、早期に医師に相談しましょう。

    理由5.家庭環境に伴う発意不良によるもの

    あまり考えたくはありませんが、残念ながら家庭環境の問題により、赤ちゃんに十分な栄養が与えられず、体重が減少してしまうこともあります。

    例えば、夫婦の不仲、同居している義理の両親との不仲、育児のストレスなどで、母乳が出にくくなることがあります。

    さらに、重症化してうつ状態になってしまっているために、「母乳が出なければ粉ミルクを与える」などの冷静な判断ができなくなっているかもしれません。

    また、貧困などの経済的な理由、精神的な病を含む親の病気・障害、などによって、適切な育児が行われない、いわいる「ネグレクト」の状態になっている場合もあります。

    こうした場合は、まず、信頼できる身近な人に相談して、環境が改善できないか一緒に考えてもらいましょう。

    信頼できる人がいない、相談したけれど改善できなかった場合は、かかりつけの産科、小児科に相談して、支援してくれる公的な機関を紹介してもらいましょう。

    絶対に1人で抱え込まないでください。必ず支援してくれる人はいます。

    体重減少はその後の発達に影響することがある

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    万が一、体重が減少してしまう傾向が続くようであれば、赤ちゃんの今後の発達にも影響が出てきます。

    特に、生後6か月までは、急速に脳が発達する時期でもあり、発育不良により、ものごとを認識する能力や言葉を覚える能力に何らかの影響が出てしまう可能性もあります。

    自己判断せず、夫(妻)、自分の両親、医師、助産師など、あらゆる人に協力をしてもらって、少しずつでも体重が増えるように改善していきましょう。


    (参考出典)
    メルクマニュアル医学百科
    厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015年版」
    厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査」
    聖マリアンナ医科大学病院
    久保田産婦人科麻酔科医院